a Piece of Cake.
たいようのかおり。

他人の家の匂いがする。

聡現くんからは甘い匂いがするけれど、家からするわけではなかった。当たり前か。

一軒家に入るなんて久しぶりで、幼い頃に戻ったみたいだ。

「少ししたら涼しくなるので」

リビングのエアコンの電源を入れた聡現くんが言った。夕美さんはキッチンの方で、買ったものを出している。

「座っててください」

何か手伝おうかと腰を浮かせたわたしを見て、聡現くんはソファーを示した。

「はい……」
「アイスコーヒーとアイスティー、あとレモネードがあります」
「ドリンクバーなの?」
「おすすめは自家製レモネード」
「ではそれを」

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