a Piece of Cake.

わたしはかしわ天をうどんに投入した。勝手に親子うどんだ。

「普通に終了した。木谷さんが首藤ちゃんのこと気にしてたよ」
「……誰だっけ?」
「ほら、首藤ちゃんに彼氏と別れた理由聞いてたひと」

営業部って流石だと思う。きちんと顔と名前と、誰が何を言ったかを記憶している。すごい。

「気にするとは、引いていた……?」
「じゃなくて、込み入ったこと聞いたって」
「いや、わたしがね、勝手に言っただけで」
「砺波ちゃんがそういう感じでフォローしてた」
「二人の出来具合にわたしは涙が出そう」

同時に奈緒さんはうどんを啜り、わたしの声はかき消された。

こちらを見て、うん? という表情。

< 38 / 135 >

この作品をシェア

pagetop