a Piece of Cake.

なんでもない、と首を振る。

親子うどんを食べ終えて、店を出た。
会社に戻るまでの道にケーキ屋が見えて、聡現くんの連絡先を思い出す。

名刺に書かれていたのは電話番号だった。

いや、普通メッセージアカウントのIDとか……。

電話をかける壁が高すぎて、未だにケーキ屋に行けていない。

その隣のカレーチェーン店が目に入る。

「やっぱりカレー食べて帰ろうかな」
「胃袋底なしだよね。食べるときと食べないときの差が激しい。食べないよりずっと良いけど」

奈緒さんが苦笑しながら言った。

「奈緒さんも食べる?」
「隣のカフェで甘いもの食べようよ」

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