a Piece of Cake.
こんな居酒屋で、半分酔っていて申し訳ないけれど。
顔を覆っていた手が外れ、その手が差し出される。反射的にわたしも手を出すと、握られた。
ぎゅっとされて、嬉しさが頭の奥で響く。
「ありがとう、嬉しい」
同じ気持ちでいてくれる。良かった。
奈緒さんと湊ちゃんにそれを報告すると、おめでとうと言ってくれた。
「携帯見ても大丈夫だって?」
「あ、それは聞いてない」
「え」
湊ちゃんがクッキーの袋を破る手を止める。