a Piece of Cake.
視線がケーキにある。
「……食べる?」
「要らないけど、目の前で食べられると緊張する」
「いつも通り、すごく、美味しいです」
そう言うしかないよな、と提げていたビニール袋から缶を出してプルタブを引いた。紅茶かと思ったけれど、ビールだった。
「今日、休み?」
「はい。午後休みで、人に会ってました」
「もしかして彼女?」
「いや、恩師というか尊敬してる人に」
わたしの質問が幼稚に思えるような返答だった。反省しながらモンブランを完食した。
プリンを手に取り、公園の街灯を見上げる。