a Piece of Cake.
「お菓子作ってるひと?」
「そうです、学校の先生に当たる人。で、今は最中ホテルでデザート部門の料理長やってる」
「え、すごい人だ」
自分の語彙力の無さが嫌になるけれど、本当にすごいと思った。聡現くんは気にする素振りもなく、頷く。
「そう、すごい人」
「元気だった?」
「元気でしたね。異動で、海外に行くそうで」
あのホテル、海外にもあるんだという驚き。
奈緒さんの彼女も海外に転勤になって、最低三年は戻ってこないと言われたらしい。
「あんまり、会えなくなるね」
「……そうですね」