a Piece of Cake.

結局、マンションの前まで送ってくれた聡現くんに御礼を言って手を振る。

「依理須さん」

自動扉の前で呼び止められて振り向いた。

「ん?」
「お幸せで」

生まれて初めてそんなことを言われて、思わず笑った。

「ありがとう」





なんで重くなっちゃうのかな。

水槽の中を泳ぐ魚を見ながら考える。

最初は全然、そんなじゃない。一緒に居られるだけで楽しくて、会えるだけで嬉しかった。

< 83 / 121 >

この作品をシェア

pagetop