a Piece of Cake.

しかしそれが言葉にならないまま、木谷さんはお手洗いに立った。

ぽつんと残されたわたしと、木谷さんの携帯。

これは……試されてる?

見たい、ような。
別に見なくても良いような。

それより、なんか甘いもの食べようかな。

携帯から視線を逸らして、レストランの外に出ていたソフトクリーム屋を見つける。季節限定でレモンソースがある。

聡現くん好きそう。

「お待たせ。行こうか」
「はい。木谷さん、ソフトクリーム食べても良いですか?」
「勿論」

携帯はいつの間にか木谷さんの元に戻り、席を立った。


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