a Piece of Cake.
ぼんやり帰っていると、clairの光が見えた。
寄ろうか考えて立ち止まると、後ろから来た人とぶつかった。謝って、道の端に寄る。
「足、痛いんですか?」
困ったときの聡現くん。
振り向けばその姿はあって、わたしの顔を怪訝そうに見ていた。
「腕の次は足、」
「聡現くんのマドレーヌ」
「え?」
「食べてほしかったな……」
へら、と笑ってみせると聡現くんは呆れたような困ったような顔をしてお店の方を指差す。
「ちゃんとありますよ」
その言葉に安堵する。
わたしがどんなに辛くても悲しくても、変わらないものがあることに。