a Piece of Cake.

確かにこれは、ラッキーだ。

「お金払います」
「いや、オマケなので。マドレーヌの」

聡現くんはわたしの買ったマドレーヌを指して言った。

「まあそれより、早く食べてください」

温かいフィナンシェを持ち直す。
わたしは漸くちゃんと笑えた。

「聡現くん」
「はい?」
「ありがとう!」








木谷さんとはお別れした。

理由は仕事が忙しくてわたしに割く余裕が無くなってしまうから、だそうだ。

連絡が途絶えてたときよりも、振られたときの方が気分が清清しかった。
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