夢見る夢子は、元アイドルに運命を感じてしまいました!




(あ……)

静かに襖が開いて、たっくんが現れた。



「あの…トイレは?」

「あ、こっちです。」

まだどことなく顔色が良くない。
大丈夫かなぁ?
トイレから戻って来たたっくんは、そのまま部屋に戻って行った。




(あ、お粥のこと言い忘れた!)



わざわざ言うのもどうかと思い、言わずにおいた。
たっくんがまた起きて来たら、言うことにしよう。



(あ、もうこんな時間…)



そろそろ晩御飯の時間だ。
いつも、晩御飯は手抜きだ。
買ってきたお惣菜を食べることが多い。
でも、今はたっくんがいる。
料理しない奴だと思われるのも嫌だから、とりあえず何か作ろう。
今日は、買い物に行く暇もなかったから、簡単なもので良いよね。



(ま、こんなもんよね。)



あり合わせのもので、味噌汁と卵焼きを作り、シャケを焼いた。
このくらい作っておけば、大丈夫だよね。
そこへ、たっくんが起きてきた。
またトイレみたい。



「あ、あの…お粥作ったんですが食べますか?」

「え、いいの?」

「は、はい。」

たっくんは、私の夕飯をじっと見てた。



「あ、あの…良かったら、卵焼きとシャケも。」

「本当?じゃあ、お言葉に甘えて。」

たっくんは、こたつの前に腰を降ろした。

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