1年後に離縁してほしいと言った旦那さまが離してくれません
「ああ、そうだ。アリアさん、何かほしいものはないかい? 何でも買ってあげよう」
「そうね。やりたいことがあるなら応援するし、何でも言ってね」
義両親の言葉にアリアは困惑の表情で頷く。
だが、ふたりはどんどん会話を進めていく。
「そうだ。君のための部屋をもっと豪華にしようか。君だけの庭園も作ったりして」
「そうだわ。明日は町一番の衣装屋のマダムを呼びましょう。あなたにぴったりのパーティドレスを新調しなくちゃ」
義両親がわくわくした表情で話を進める。
「あ、あの……うちに支援をしてくださっているだけで十分ですので」
と控えめに言うと、ふたりは真剣な表情で「だめよ!」と言う。
「あなたに迷惑をかけているんだもの。出来ることはすべてしてあげたいの」
「そうだ。遠慮しなくていい。私たちは本当の娘だと思って何でもしてあげたいのだ」
ふたりはにこにこしながら言った。
アリアは戸惑いながらも承知する。
「そうですね。私は読書が好きなので、書庫を自由に使わせていただけると嬉しいです」
そう言うと、ふたりはもちろんだと了承した。
朝食会は意外にも楽しかった。
その翌日からパーティのドレス選び、その次は宝石や部屋のカーテンの模様、そしてアリアだけの庭園を造り、そこで行うお茶会のためのパティシエも決めるらしい。
義両親は思ったほど悪い人ではなかったが、正直これほど干渉されるのはどうだろうか。
放っといてほしいのに!!