1年後に離縁してほしいと言った旦那さまが離してくれません
だが、いつまでもこのような関係はよくない。
母親の病気はずいぶんよくなったので、メアリーはついにフィリクスに援助を断るという意思を伝えた。
「どうして? 僕にとって君は恋人も同然だ。君の家族は僕にとっても家族なんだよ」
困惑するフィリクスに、メアリーは冷静に話す。
「フィリクスさまと私では身分があまりにも違います。それに、あなたはご結婚が決まっているのでしょう?」
「ああ、そのことなら心配ないよ。一応、結婚はするけどそれは体裁を保つためであって、君との関係を終わらせるつもりはないんだ」
「あの、私たち付き合ってもないんですけど」
「これから正式に付き合うつもりでいるよ。僕は君のことを愛しているのだから」
メアリーはため息をついた。
「あの、本当にわかっていますか?」
「何をだい?」
「愛しているという意味ですよ。あなたは私が怪我の治療をしたことで、それを愛と勘違いなさっているのでは? 私はただ善意で行っただけです。あなたではない別の誰かが怪我をしていたら、もちろんその人のことも助けるつもりです」
「君は心優しいからそうするだろう。わかっているよ。君のそういうところも僕は好きなんだ」
「はあ、そうですか……」
何を言っても通じないなと思った。