1年後に離縁してほしいと言った旦那さまが離してくれません
メアリーはため息まじりに訊ねる。
「フィリクス、あなたは私が恋人がいると聞いてどう思った? これで信用してくれるかしら?」
「ああ、そうだね。君がそちらの彼を好きだというなら、僕は諦めるしかないな」
意外にもあっさりと身を引いたフィリクスに、メアリーは驚いた。
ケリーはぼそりと「簡単な男だな」と呟いた。
フィリクスは花束とお菓子をメアリーに手渡す。
「じゃあ、これは見舞いとして受け取ってくれる? ここにはもう来ないことにするよ」
「ええ、そうね。今まで本当にありがとう。私の母を救ってくれたあなたのことは#恩人として__・__#忘れないわ」
フィリクスは落胆したように俯いてため息をついた。
そして、彼はメアリーに訊ねる。
「ひとつ、教えてほしい。僕が君に抱いていた感情は、一体何だったのだろう?」
フィリクスの疑問に対し、ケリーが「知るかよ」とぼそりと言う。
だが、メアリーは微笑んで、しっかりと答える。
「それは愛情ではなく同情よ。今回は勘違いだったけど、あなたもきっと本気で愛する人に出会えるはずよ」