1年後に離縁してほしいと言った旦那さまが離してくれません

9、あなたのことが好きになりました


 一体これはどうなっているのだろう。
 アリアはフィリクスとともに、部屋にふたりきり。
 非常に気まずい。
 しばらく無言の状態だったが、先に口を開いたのはフィリクスだった。


「何か誤解があったようなのだが」
「誤解? 何のです?」

 アリアは眉をひそめて訊ねる。


「確かに、君の妹は僕に積極的に話しかけてきていたけど、それは家族として親しくなろうとしていただけで、決して君と僕の夫婦関係を壊すようなことをしていたわけでは……」
「そのことは私の勘違いでした! もうお忘れください!」

 アリアは燃えるほど熱くなる頬に両手を当てて顔を伏せた。
 フィリクスも恥ずかしそうにしながらアリアに訊ねる。


「その、君が僕のことを好きだというのは本当か?」
「そんな、ことは……」

 ありません、と言うのもおかしな話だ。
 アリアは言葉にして言ってしまったのだから。

 フィリクスは絶対に譲らないと。


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