1年後に離縁してほしいと言った旦那さまが離してくれません
「あ、あれは……妹に腹が立ってしまって。ほら、ミラベルは昔から私が与えられなかったものをすべて両親から与えられてきたので、私のものまで奪われるのは気に入らなくて……それで」
言いわけを口にしていると、フィリクスは黙ってアリアを抱きしめた。
「だ、旦那さま? 何を!?」
「そうか。君はずっと辛い思いをしてきたのだな」
フィリクスがアリアの頭を撫でる。
彼のその行動にアリアは驚き、そして心底安堵した。
とりあえず、今は思いっきり甘えたい気分だった。
「ぎゅってしてくれます?」
自分でもとんでもないことを言っていると自覚している。
当然、フィリクスも驚いたようだが、黙ってアリアを抱きしめた。
「こうかい?」
「いいえ、もっとぎゅってしてください」
「わかった」
フィリクスはアリアを抱きかかえるとソファに腰を下ろし、そのままアリアを押し倒した。