1年後に離縁してほしいと言った旦那さまが離してくれません
「あ、あのう……ここまでしろとは言っていませんけど?」
「夫婦なのだからいいだろう?」
「偽りですよ?」
「しかし、たった今、君の気持ちを知った。そして、僕は半年前から君のことが好きだ」
どくんと胸が高鳴った。
これはもう、認めるべきなのだろうか。
アリアは頬を赤らめて、フィリクスから目をそらす。
「そろそろ許してもらえないだろうか? 新婚早々、君に失礼な発言をしたことは謝る。ずっと反省している。本当に愚かだったと思う」
本当は、とうに許している。
というよりも、そんなことはもうどうでもいい。
ただ、アリアとしても彼を利用しようとしたので、簡単に自分の気持ちを押し出すのも申しわけない気がしていた。認めないようにしていた。
頑固になっていただけだ。
「旦那さまは本当に私のことが好きなのですか?」
「ずっとそう言っているはずだが」
「また、勘違いではなくて?」
「勘違いなものか。この半年、僕は妻のことばかり考えている。よその男が妻に近づいてくるだけで危機感を覚える。こんな気持ちは生まれて初めてだ」
それを聞いたアリアはふふっと笑った。
夫婦は似るものだと言うが、まさか偽りでもそのようなことになろうとは。
だが、それはつまり、本物の証。