1年後に離縁してほしいと言った旦那さまが離してくれません
「不思議ですね。私もこんな気持ちは初めてです」
「え?」
「妹に旦那さまを取られるかもしれないと、この3日間ずっと眠れませんでしたわ」
それを聞いたフィリクスは驚き、そして笑顔になった。
「あらためて告白しよう。アリア、君のことを愛している」
アリアも、フィリクスの目を見てはっきりと気持ちを伝える。
「私も、旦那さまのことを愛しています」
こうして、ようやく両想いであることを確かめ合ったふたりは、静かにキスを交わした。
そして、お互いに見つめ合って、しばらく硬直した。
「アリア、その……僕は」
「言わないでください。知っています。そして、私もですから」
「そうだったね。僕たちふたりとも……」
「ええ。でも、大丈夫です。だって、みんなしていることだもの」
「ああ、そうだね」
ふたりがようやく初夜を迎えたのは、結婚式から10ヵ月が経過した日のことだった。