1年後に離縁してほしいと言った旦那さまが離してくれません

10、嫌いだけど大好きな姉【ミラベル視点】


 ミラベルにとって姉のアリアは好きでもあって嫌いでもある。
 病気がちで外出もままならないミラベルに、アリアはいつも優しく接してくれた。
 アリアは町へ行って見てきたことをミラベルに話して聞かせた。

 ミラベルは姉がうらやましかった。
 姉のように健康体なら、一緒に買い物に行ったり観劇を見たりできたのに。

 どうして自分だけ病気なのだろう。
 家から一歩も出られないのがもどかしい。

 美人で健康で自由で、どこへでも行ける姉に、ミラベルは嫉妬した。


 幼少期からずっと家でじっとしているミラベルは、鬱憤が溜まって家族に八つ当たりするようになった。
 両親はミラベルを気の毒に思い、何でも彼女に買い与えた。
 ミラベルは両親に対して多くのわがままを言った。
 そして、両親は何でも言うことを聞いてくれた。

 しかし、姉のアリアだけは違った。
 普段は優しかったが、ミラベルがわがままを言ったり両親を困らせたりすると、アリアは叱ったりした。


「お姉ちゃんにはあたしの苦しみなんてわからないわよ!」

 そう言って姉を拒絶したこともある。
 しかし、だからと言って姉が離れていくことはなく。
 どれほどミラベルが暴言を吐いても、姉はそばにいてくれたのである。


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