1年後に離縁してほしいと言った旦那さまが離してくれません

「お姉ちゃん、緑がとっても綺麗。空はこんなに青いのね」

 自然に触れたミラベルは見たこともないほど明るくなった。
 今まで青白かった顔色は、頬が赤く染まって健康的な色になり、何より笑顔があふれた。

 
「あっ、お花が咲いてるわ。可愛い」

 ミラベルが走っていくと、背後からアリアが叫んだ。


「ミラベル、そっちは危ないわ」
「えっ……?」

 ミラベルは足を滑らせて水路に落下してしまった。
 アリアによって何とか引き上げられたが、ミラベルは痛みのあまり大泣きした。
 ミラベルは足を骨折していた。


 これが、姉との一番幸福な思い出であり、姉との関係が絶たれてしまう出来事だった。


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