1年後に離縁してほしいと言った旦那さまが離してくれません

2、仮の妻をはじめます


「おはようございます、奥さま」

 爽やかな声とともにアリアは目覚めた。
 どうやら使用人が朝の支度を手伝ってくれるらしい。
 だが、アリアには新鮮なことで驚いてしまった。


「着替えくらい自分でできるわ」
「いいえ! 奥さまは侯爵夫人でいらっしゃいますから、お手伝いさせてくださいませ。あ、こちらは本日の化粧(メイク)担当でございます」

 侍女に紹介された使用人がぺこりとお辞儀をする。

「そして、こちらが衣装担当、あとは髪型担当ですわ」

 次々と紹介された使用人たちが深々とお辞儀をした。

「よろしくお願いいたします、奥さま」


 アリアはドン引き、するほどではなかったが、少々引いた。
 なるほど、侯爵家ともなるとすべてに担当使用人が付いているなんてすごいなと。
 アリアの家にも使用人はたくさんいたが、いちいち担当使用人が付いていたとは思えない。

 まあ、アリアが知らないだけかもしれないが。


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