悪魔のホームページ

「おい柚‼︎酒買ってこい」

家に帰った瞬間に、お父さんの罵声が聞こえてくる。

未成年の私がお酒を買えるわけがなく、私はそれを無視して部屋に閉じこもる。


親も寝てから、夜、私は静かに起き上がりスマホを取り出した。

検索しても何も出て来ない。

「あるわけ──ないか」

そう思って、スマホを閉じようとした時、急に画面が光り出した。

「な、何────⁉︎」

突然飛んだ謎のURL。そこの画面には、綺麗な字体で‘悪魔のホームページ’と書かれていた。

「まさか──」

私は震える手でそっと【望む世界に行く】というボタンを押す。

何も起きない数秒間。

誰かのイタズラ──だったのかな

そう思った時だった。

「今宵、私のホームページにアクセスしてくださり誠にありがとうございます」

目の前に、イケメンが現れた。

刃のようの鋭い光を宿した赤色の瞳に、サラサラの金髪。

「私は案内役の亜久と申します。ぜひ、あなたの願う世界に案内させていただきたく思います」

「人間なんていない世界に行きたい───‼︎」

私は気付けばそう叫んでいた。

もう、限界だった。

亜久さんは、私の言葉にニコリと微笑む。

「左様でございますか。それでは少し注意事項を。こちらから別世界に行くことは一方通行です。一度あちら側に行ってしまえば、二度と戻ることは出来ません。それでもよろしいでしょうか?」

首を傾げてから言われた問いに、私は躊躇いもなく頷いた。

「それでもいい───‼︎私を救ってよ───」

私はそう言うと、自然と涙が溢れてくる。

「かしこまりました。それでは、あなたの望む世界で──幸せがあらんことを」
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