悪魔のホームページ
「嘘‼︎あれ優奈ちゃんじゃない⁉︎」
「やばっ‼︎リアル可愛すぎ‼︎」
学校に行くと、私を見るなり沢山の人が騒ぎ出した。
私は挨拶だけを笑顔で返し、余計な会話はせずに教室に入った。ふわふわに巻かれた可愛いロングの髪の毛を指でくるくるいじりながら、周りの取り巻き達と楽しそうに話している伊集院さんのもとに行き、私は笑顔を向ける。
「久しぶり。おはよう伊集院さん」
私が登校していることに驚いたのか、一瞬目を瞬けてから、伊集院さんはすぐに笑顔を浮かべて私に挨拶を返す。
「おはよう優奈ちゃん」
猫被ったその笑顔を見て、イライラが抑えられなくなってくる。
「ねぇ、私がいない間、柚に何かした?」
私のその問いに、クラスが一気に静まり返る。これだけで、十分わかった。伊集院さんは、不思議そうに顔を傾げる。
「何ってぇ、少し調子乗ってるみたいだったから?」
「そう────」
私は軽く答えてから伊集院さんの席を離れる。あまり追及しなかったことに驚いたのか、全員が私の方をマジマジと見つめた。私は静かにスマホをいじり、今録音した音声をクラウドにアップしておく。
許さない。絶対に。
私の友達を追い込んだ奴らを絶対に許さない。
仕事を言い訳に私は学校を途中で早退し、のんびりと家への帰り道を歩く。
ふと、川を渡る橋まで来て、立ち止まった。
────柚は今、1人なのかな?
私が今ここで飛び降りれば、もしかしたら────1人じゃなくなるのかな?
私は微かに震える手で橋の端の手をかけて身を乗り出す。
大丈夫。怖くない。
私が死ねば────
決意して手を離し飛び降りた時、突然手首を掴まれ、引き上げられる。
「何をしようとしてるんですか──?死にますよ?」
綺麗な金髪の男。芸能活動を行っている私でも見慣れないほどのイケメンがそこにはいた。
「──止めないでください。死のうとしたんです。じゃなきゃこんな事しません」
私のその言葉に、男は軽く微笑んだ。
「そっかぁ───それじゃあ折角なら、桐生柚さんと同じ死に方してみる?」
ハ──────?
私は今目の前の男が言った言葉をもう一度頭の中で再生する。
桐生柚って今────
「柚さんを殺したの、俺なんだよね──んーまぁ俺というか、俺の友達?」
男はそう言って私に手を差し伸べる。
「芸能人がこんな所で男と2人きりなんて、噂が立っちゃうよ?」
不気味な笑顔を浮かべて、男は喋り続ける。
「君の目、面白そうだから教えてあげるよ。全てを、ね」
────私は静かに男の手を取った。