幼馴染みとの契約交際が溺愛必須に変更されました。
倫之の質問に、私はすぐに答えを返すことを躊躇した。
幼なじみとはいえ、男のこいつに、こういう悩みを打ち明けるのはいささか抵抗がある。笑ったりはされなくても、同情とか哀れみの目で見られるのも避けたい。
「……正直、迷ってて、行くかどうか」
それでも結局は、気持ちを口に出していた。
「なんで」
「私ら、今年で三十三じゃない。結婚してる人の方がたぶん多いぐらいでしょ? この歳で、予定どころか相手もいないなんて正直に言うの、気持ちの上で憚られるじゃない」
「そうか?」
頬杖をついた姿勢でじっと顔を見つめられて、不覚にもドキッとした。
倫之は昔から、無駄に見た目がいい。子供の頃は女の子よりも可愛いと言われていたし、中学から高校にかけてのイケメンへの移行ぶりは、私ですら目を見張るものがあった。
百八十センチ超えの長身は今も変わらずで、カフェの小さなテーブルの下で狭そうに、日本人らしからぬ長い足を組んでいる。