Beautiful moon

『…んふっ』

二度目の口づけは、深く強く、温和な先生からは想像もできないくらい強引に攻め込まれた。

シンとした室内に、艶めかしい水音が響き、共に呼吸が乱れてきたころ、シーツの衣擦れの音と一緒に、先生に抱きかかえられ、そのままベットの上に下される。

何度も重ねた深いキスの為に、ボゥッとした頭で自分を見下ろす先生の顔を、下から見上げる体制になった。

先生は無造作に着ていた服を脱ぎ捨てると、愛おしそうに私の髪に触れる。

『あぁ…美月、やっと逢えた…』

酒に酔いうつろな眼差しながらも、嬉しそうに安堵の言葉を口にする先生を、受け止めるように両手を広げ、招き入れる。

もう一度唇を合わせ、私の髪や耳をその熱い唇で確かめるように触れると、そのまま首筋に流れていく。

ゆっくりと味わうように柔らかな唇で触れたあと、今度は首の付け根に甘く噛みつかれた。

『…痛ッ』

軽い痛みを与えられた後、すぐ傷口を労わるようにそこを執拗に舌先で舐められ、堪らず甘い声を上げてしまう。

『…美月、好きだよ』

自分ではない名を口にする先生を、それでも黙って受け止める。

こうなることは承知の上で、先生に強いカクテルを飲ませ、ここまで連れてきたのだから、拒否する気も、後悔する気もない。

慣れた手つきで服を脱がされ、先生は私の身体のありとあらゆる場所に触れ、優しいキスを繰り返す。

それはきっと、いつも美月さんにしていたように。

男性との交わりはこれが初めてでは無いものの、こんな風に抱かれるのは初めてだった。

キスの仕方も、肌の触れ方も、こんなにも優しくて温かくて…。

『美月…美月…』
『……っ』

彼女の名前を呼ばれ、自らの身体に甘い刺激を受けるたび『先生』と返事をしそうになるのを、グッとこらえる。

『…みつき』
『…ぁ…んっ』
『美月、愛してる…』

高みに上り、果てる瞬間まで、何度も何度も確かめるように、彼女の名を呼び続ける。

そうしてこの夜は、互いに酔いが回った状態で思いのままに情事を繰り返し、私も先生もいつのまにか力が尽きたように、深く眠りについていた。
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