Beautiful moon

『あなた一体何を…』
『美月で良いわよ。足ももう動くでしょう?』

言われて気がつけば、さっきまで動かなかった足が今は自由に動く。

『ごめんなさい。流石にここまで来て逃げられるわけにはいかないから…って、あっ誤解しないでよ?ホント夢の中に閉じ込めるとか、そういうのじゃ無いから。そもそもあなたをあまり怖がらせないために、わざわざ明るい昼間の、この場所を選んだのに』

私がまた不安な顔をしたのかもしれない。

必死に私を安心させようと説明する美月さんを見ていたら、さっきまでの緊張が少しほぐれてきた。

こんな不可思議な状況に、少しずつ慣れてきたというのもある。

ついで、どうせこれは夢なのだという、どこか投げやりな気持ちもあったのかもしれないが。

『どう?安心してくれたかしら』
『…少しは』

緊張が薄れていくと同時に自分の中に余裕が生まれ、私は改めてこの世界(夢?)の全体を…彼女の後ろに広がる蒼い花畑を見渡した。
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