Beautiful moon


『透とは、私が大学2年の時に知り合って、卒業してから付き合いだしたから、友達だった期間も含めたら…8年かな?』

美月さんは先生との愛おしい日々を思い出しながら、ゆっくり語りだす。

『ずっと、お互いの気持ちは知ってたんだけどね』
『先生は、あなたが大学生だった3年間は、ずっと片想いだったって言ってましたけど』
『透が?よく言うわ。私の気持ちだって、絶対わかってたくせに』
『あなたの…美月さんの方からは、言わなかったんですか?』
『まぁね、だってやっぱり言われたいでしょ?女の子は』

美月さんは抱きしめていたクッションの上に顎を乗せ、小悪魔的な笑みを見せる。

『結構わかりやすく匂わせてたし、いくつもその隙はみせていたつもりなんだけどね』
『先生の方が気づかなかったと』
『ん〜どうかな…もしかしたら、待ってくれていたのかもしれない。私が子供の頃からの夢だった先生になるまでは…って。そういうとこ生真面目なのよね』

笑いながら仰ぐ空には、すでに半透明の月が見える。

明るかった薄い紫色の空も、陽の沈みと共に、刻一刻と濃くなっていくようだった。
< 26 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop