「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
 ジャスティナは沢山の美点を持っているけれど、もちろん欠点だってある。もし彼女を親友だと思うのなら、私はそういう悪いところだって受け止めるべきだった。

 私たちは若くて未熟で……まだまだ人生において学ばないといけないことが、多いのだから。

「あの……ジャスティナ」

 呼びかけた彼女は肩をびくんとふるわせて、泣きながら私の目を見た。

 ジャスティナの恐れを抱く目を見て、私は彼女が何が嫌だったかを理解した。

 ジャスティナは親友の私を失ってしまうのが怖くて、だから、何度もおかしいと思いながらも、私に何も言えなかった。

 過去に間違ってしまった人を、切り捨てるのは簡単だ。

 けれど、そこに私への愛情があれば?

「……私。ジャスティナが私のことをどれだけ大事に思ってくれたかを、ちゃんと理解したわ。シリルから聞いたの。私に何かするかもしれないって、彼をずっと見張っていたんでしょう。結果的にあのエミリオ・ヴェルデに騙されてしまっていて……それを、私には言えなかったことも、ずっとつらかったのね」

「フィオナっ……」

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