【つぎラノノミネート中!】「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
 かなり、やばい状況だ。俺って別に、苦行が好きな訳でもないんだけど。

 夫を好きな妻が気になって堪らないなんて、まじで人生終わってる。詰んだ。

 いくら何度も賽を振っても、進まないし進めない。当たり前だ。人の所有する何かを略奪することは罪だ。

 だが、俺が思うに、人の感情には永遠はない。

 かつ、シリルが不慮の事態で居なくなることだって、ないとは言えない……誤解のないように言っとくと、別に俺はそれを願ってはない。あいつのことは悪く思ったことはないし……嘘だった。単純で本当に馬鹿だなと思うことは、あったかもしれない。

 大事なことは、可能性はゼロじゃないという事実だ。それは、純然としてそこに存在している。

 そうだ。嘆き悲しむ未亡人がもし未来居るなら、慰める役目は俺がしたい。

 だから、俺は別にこのままで良いと思っている。

 つかず離れず、意識もされず、たまにお茶を飲む関係。

 長い長い時が経って、このままで何も変わらないだなんて、誰にも言えるはずがない。

 千里眼だって未来視だって、すべてを見通すことは出来ない。

 だが、誰が意味不明だと罵ろうが、俺の行動を決めるのは俺だけだ。

 特段気にしないので何か言いたがる外野は貴重な時間を無駄にして、お好きにお騒ぎください。

 フィオナが未来悪い風に変わってしまっても、好きなのかと知りたいなら、どうか……その時の俺に聞いてみてくれ。

 遠い未来の俺は、今現在の俺ではないからだ。

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