「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
 即断即決と言わんばかりにシリルは頷いたので、こちらの方が慌ててしまった。

「少し、待ってください! けど、勇者様なら、誰とでも結婚できるのに、私なんかで、本当に良いんですか?」

 縁談が降るようにあって相手を選んでいる大人気のジャスティナだって、勇者として何もかもを持つシリルが結婚したいと申し込めば、すぐに了承してしまうはずだ。

 それなのに、私なんかで大丈夫なの?

「良いよ良いよ。なんで、そんなにフィオナは自信がないの? 何か、嫌なことでもあった? 俺は結婚出来て嬉しい。これから、二人で楽しく生きていこう」

 人生において割と深刻な決断をしたはずなのに、シリルはなんでもないことのように頷き微笑んだ。

 彼の明るい笑顔を見て、やっぱり不安になってしまった。後々になって、これは話が違ったと言い出されるかもって思ってしまって。

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