【書籍化】「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
シリルは今まで見たことのない嘘くさい笑顔を浮かべて、私たち二人の前に立っている女性へと声を掛けた。
ああ。これが、例の聖女ベアトリス・ヴィオレ。
聞きしに勝る、美しさを持つ聖女だった。金属のような豪奢な金髪は巻いて、意志の強そうな赤い目。
こんな女神のような女性から迫られていたのに逃げていたなら、ジャスティナを見たからと何も思わないはずだと、妙に納得してしまった。
「つい、数日前。結婚、したんですって?」
「うん。そうなんだ。前々から交際していた、こちらのフィオナと。何か問題でも?」
「うちのお父様と犬猿の仲のノワール伯爵の、娘ですって!? 偽装結婚じゃないでしょうね!?」
キッとこちらを睨みつける彼女に、私はドキッとして体全体も緊張してしまった。
ベアトリス様の推測は、完全に的を射ている。彼女にだって、シリルに嫌がられ逃げ回られているという自覚があるのだろう。
それならばキッパリと諦めればというのも、難しいのかもしれない。聖女の彼女には思い通りにならないことが、少なそうだから。
ああ。これが、例の聖女ベアトリス・ヴィオレ。
聞きしに勝る、美しさを持つ聖女だった。金属のような豪奢な金髪は巻いて、意志の強そうな赤い目。
こんな女神のような女性から迫られていたのに逃げていたなら、ジャスティナを見たからと何も思わないはずだと、妙に納得してしまった。
「つい、数日前。結婚、したんですって?」
「うん。そうなんだ。前々から交際していた、こちらのフィオナと。何か問題でも?」
「うちのお父様と犬猿の仲のノワール伯爵の、娘ですって!? 偽装結婚じゃないでしょうね!?」
キッとこちらを睨みつける彼女に、私はドキッとして体全体も緊張してしまった。
ベアトリス様の推測は、完全に的を射ている。彼女にだって、シリルに嫌がられ逃げ回られているという自覚があるのだろう。
それならばキッパリと諦めればというのも、難しいのかもしれない。聖女の彼女には思い通りにならないことが、少なそうだから。