【書籍化】「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
「そんなはずないじゃないか。俺は妻のフィオナを、心から愛している。だから、こうして夜会にだって、一緒にやって来たんだ……何か問題でも?」
こちらを見つめたシリルは私の手を取り、まるで「大丈夫だ」と言わんばかりに大きな手で握った。
「結婚が私を黙らせるための嘘ではないという、証拠はあるの?」
ベアトリス様は疑わしげで、不満いっぱいの様子だ。国を守る聖女という尊い立場を振りかざせば、王様だって自分の言いなりになる。
なのに、本当に欲しい勇者シリルは、私と結婚してしまっているから。
「では、どう説明すれば、納得する?」
「……ここで、キスでもしてみてよ。出来るのならばね」
いまだかつてキスなんて一回もしたことのない私は、その言葉が信じられなかった。だって、私たち結婚式だってしていないから、誓いのキスのふりさえもしていないのに。
だから、私は夫のシリルが、聖女の横暴ににっこり微笑んだことを信じられなかった。
「そんなことで良いの?」
シリルは私の顎に手を掛けて上向かせ、ためらうことなく唇を寄せた。
こちらを見つめたシリルは私の手を取り、まるで「大丈夫だ」と言わんばかりに大きな手で握った。
「結婚が私を黙らせるための嘘ではないという、証拠はあるの?」
ベアトリス様は疑わしげで、不満いっぱいの様子だ。国を守る聖女という尊い立場を振りかざせば、王様だって自分の言いなりになる。
なのに、本当に欲しい勇者シリルは、私と結婚してしまっているから。
「では、どう説明すれば、納得する?」
「……ここで、キスでもしてみてよ。出来るのならばね」
いまだかつてキスなんて一回もしたことのない私は、その言葉が信じられなかった。だって、私たち結婚式だってしていないから、誓いのキスのふりさえもしていないのに。
だから、私は夫のシリルが、聖女の横暴ににっこり微笑んだことを信じられなかった。
「そんなことで良いの?」
シリルは私の顎に手を掛けて上向かせ、ためらうことなく唇を寄せた。