【書籍化】「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
 聖女ベアトリス様の横暴を目の当たりにしたばかりの私は、ルーンさんの言葉になるほどと頷いた。

 ベアトリス様は結界に必要な聖女でもあるから、国に無くてはならない存在だからと、今まで我が儘が許され通って来た。

 だから、あそこまで強気な態度だったのだと。

「あ。ルーンさんが、この前に酒場に居たのって……」

「そうそう。俺が王様に言われてあいつを探したら、ちょうどこっちに帰って来てたシリルを見つけたんだよ。ようやく、長年の悩みの種だったベアトリスから逃げられたと思って、悠々自適な生活してたから……本当に、ショックだったみたいよ」

 ルーンさんはお茶を飲みながら、大きな窓を見た。だから、お酒も入っていたシリルは、ヤケになってあんなこと……。

「ベアトリス様って、シリルが嫌がっても……結婚したいんですかね?」

 もし、私だったら嫌われていると自覚しつつ、夫婦関係を作ることなんて、出来そうもない。

 だって、同じ家に生活していくことになるのに。

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