【書籍化】「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
「ああ。フィオナ。何をどう勘違いしているか知らないが、俺は君とずっと居るよ。そして、間違っても妻の親友などに、そんな気は起こすはずがない。可愛い。ただ二人で居ただけで、そんな良くわからない誤解をするなんて。俺のことを、好きなんだね。フィオナ」

 顔を赤くしたシリルは人前だというのにも関わらず抱きしめようとしたから、私は両手を伸ばしてそれを防いだ。

「えっ……待って。待って……あの、私ってもしかして……」

「ええ。とても、大きな誤解をしているわ。フィオナ……落ち着いて。私は貴女の今までの状況を、夫である彼に説明したかっただけなの。私……もう、本当に……最低だわ。ごめんなさい。フィオナ」

 なぜか顔をうつむかせて謝るジャスティナは、いつも私のそばに居る快活な彼女ではなかった。つらそうに顔を歪め、今にも泣き出しそうだ。

「えっ……ジャスティナ。何があったの?」

 私は彼女に駆け寄ろうとした。だって、彼女は私の親友で……とても大切な人だから。

 だけど、優しくだけど強引にシリルに肩を引かれて、私は彼の背後にあったソファですぐ隣に座らされた。

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