【書籍化】「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
「なるほどね……こんなにも可愛らしく性格の良いフィオナが、すっかり自分に自信をなくして結婚している俺にも言いたいことも言えずに一線を引いている理由がわかった。その良くわからないプライドのかたまりの男は、時間をかけて自分の価値を高めたかったんだろう。自信喪失させた後に、言い寄る自分だけを見ろという訳か。ならば、フィオナは救い出した自分に従順になり、逆らうこともしなくなる……救いがたいほどのゴミだな」

 シリルは心底不快そうに、そう言った。ジャスティナもそれを聞いて顔をゆがめたということは、彼女だって薄々そのことに気がついていたのかもしれない。

「……ごめんなさい。私はエミリオ様から、すぐにフィオナに声を掛けると聞いていたの。けれど、一向に声を掛けないから。かなり前から、何かおかしいと気がついていた。フィオナが悩んでいると彼に言ってものらりくらりと話をすり替えるばかりで……おかしいと思っていたのに、ここまでしてもらえるならフィオナは幸せになるはずと……そう、自分に言い聞かせていたわ」

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