【書籍化】「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
「ああ! 誤解しないで。そんなに便利じゃない。俺の聖剣はエンゾって名付けたんだけど、エンゾは通常ならモンスターとか、そういった直接相対した敵のステータスについて教えてくれるだけだよ。けど、俺はベアトリスにほとほと困っていた時に、あいつにいっぱい愚痴ってたから。俺は一生を過ごすならもっと可愛くて、もっと優しい子が良いって……だから、気が向いて、教えてくれたんだと思う。この女の子なら、間違いないよって」

「可愛い……?」

「うん? そうだよ。フィオナは、可愛い」

 にこにこして笑うシリルは、無理をして嘘を言っている感じでも何でもない。自然体。

 けど、私はどうしても確かめたくなった。

 もしかしたら、今までのいくじなしだった私なら、黙ったままで彼の気持ちを確かめることは出来なかった。

 けれど、シリルの言葉を私は信じられるとそう思えたから。

「シリルから、見て……私って、魅力的に見える?」

 おそるおそる尋ねた私に、シリルはようやくこれまでの謎が解けたと言わんばかりに両腕を持って私に顔を近づけた。

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