【つぎラノノミネート中!】「急募:俺と結婚してください」の手持ち看板を掲げ困っていた勇者様と結婚することになったら、誰よりも溺愛されることになりました。
「……まーね。声をかけられる数は、わかりやすく外見の良い美人のが多いかもね。けど、絶対控えめ性格の女を、好きな男もいる。だから……俺はなんかしら誤解とか、あるんじゃないかと思ってた。それなりに力を持ってるノワール伯爵家の娘に、縁談がひとつもこないとか、おかしいだろ」

「そう……ですよね。私、なんでおかしいと思わなかったのかしら」

 確かに好みもあって、引くてあまたでモテている女性が好きな男性ばかりでもないといったことも、ちゃんと理解出来た。

 私は自分の見えているせまい視界の中で、全部判断していた。

 もしかしたら、そんな中でも親切な誰かが忠告をくれたかもしれないけど、それすらも絶対にないと後ろ向きになって切り捨てていたかも知れない。

「そこは仕方ない。あんたの家族は歳離れた跡継ぎと兄と姉が居て、一人だけ遅くに産まれてる。交友関係ってよっぽど打ち込んでる趣味でもなければ、同じ年代でかたまるから。そのあたりに金をばらまいて圧力かけて上手く言いくるめて口裏を合わせれば出来るかも」

「エミリオ様は、なんでそんな事をしたんでしょう」

< 93 / 192 >

この作品をシェア

pagetop