今は魔王の手も借りたい。~転生幼女のほのぼのチートスローライフ~
(だって、このセリフは)

 命令されたわけでもないのに、幼馴染たちは一斉に後ろへ下がった。

 その存在から発せられる圧倒的な力にあてられたのか、レナーテがくずおれる。

 いつもなら真っ先にレナーテを支えるディルクも、今は動けない。

「お前たちが私を解放したのか」

 ひゅっとエステルの喉が鳴る。

(魔王が復活した)

 この状況で答えられる者などいるはずもなく、意思を強く保っていたディルクが、次にレスターが、最後まで耐えようとしていたフェンデルが糸の切れた人形のように倒れ込む。

 フェンデルの腕に抱かれていたエステルは当然地面に投げ出された。

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