今は魔王の手も借りたい。~転生幼女のほのぼのチートスローライフ~
居候ほど扱いに困るものはない
(もうだめだって思ってたんだけどなぁ)
結論から言うと、メイナ村も幼馴染たちもエステルの知るストーリー通りの悲劇を迎えなかった。
椅子に座ってミルクを飲んでいたエステルは、手つかずのままのもうひとつの器を持って自身のベッドの上に座る男のもとへ持っていく。
「いらないの?」
「いらん」
素朴な家にまったく似つかわしくないこの男こそ、封印から解放された魔王ゼファーラントである。
「お前がそういう態度だと、俺たちもどう扱えばいいかわからない」
ぴりついた空気を漂わせて言ったのはレスターだ。
ゼファーラントはレスターの言葉を無視して、エステルをじっと見ている。