今は魔王の手も借りたい。~転生幼女のほのぼのチートスローライフ~
 軽く鼻を鳴らしただけで、組んでいた長い足を組み直した。

「あの……あなたは何者なの?」

 思わずエステルはそう聞いていた。

(ゼファーラントの封印が解けたから村が滅びて、溢れ出た魔力のせいで魔物が活発化して、魔物と人間が争う世界になった。だからこの人は魔王になったのに、村が無事ってことはまだ魔王じゃない? だとしたら、なに?)

 ゼファーラントはエステルを冷ややかな目で見つめると、たったひと言だけ告げた。

「借りは返した」

「えっ、借りってなに?」

 再びゼファーラントが口をつぐむ。

 さすがにエステルが焦れていると、後ろからレスターにひょいっと抱き上げられた。

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