今は魔王の手も借りたい。~転生幼女のほのぼのチートスローライフ~
 サンドイッチを食べ終えたエステルは、今度は鞄の中から水筒を取り出した。

 ぬるくなった水で喉を潤し、再び封じられた魔王を見上げる。

 かなりの長身で、男性にしては細身だ。

全体的に鋭く尖った印象を受けるのは、いずれ世界を滅ぼす魔王だからだろうか。

 腰までの長髪は月の光を閉じ込めたような銀色で、流れる髪の合間から人間のものとは異なる長い耳が覗いている。

 封印されている今は目を閉じているためわからないが、エステルは彼の瞳が昏(くら)い血と炎を宿した深紅だと知っていた。

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