今は魔王の手も借りたい。~転生幼女のほのぼのチートスローライフ~
「そんなことないよ。いつかあなたにもお礼をさせてね」

 やがて橙色の夕日が海を照らし始めた頃、ふたりはラズと別れて城下町へ戻った。



「お前がいるなんて聞いてないぞ」

 騎士団でみっちりしごかれたレスターは、エステルと合流して開口一番ゼファーに文句を言う。

「心配して見に来てくれたんだって。だからそんな言い方しないであげて」

 エステルがゼファーを庇うと、レスターが口を閉ざす。

 ほっとしたエステルだったが、こういうときのゼファーは空気を読まない。

「人間の心配などするものか」

「細かいことは気にしないでいいの」

 そう言ってから、エステルは改めてレスターと向き合う。

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