今は魔王の手も借りたい。~転生幼女のほのぼのチートスローライフ~
 それなのにベッドを出ていこうとはせず、エステルのやりたいようにさせて毛布の中に落ち着く。

「目、閉じて」

「あれこれと要求ばかり煩い」

「目を開けたままじゃ寝られないでしょ」

 ほら、とエステルは手本を見せるように目を閉じる。

 そんな彼女の身体を、なにを思ったかゼファーがそっと抱きしめた。

「私、抱き枕じゃないよ」

「だろうな。お前は私が知る中で最も鬱陶しい人間だ」

 レスターにも抱き枕扱いされたことのなかったエステルは、しばらくゼファーの腕の中でもがいていた。

 しかしやや強引に背中を押さえつけられ、最後は諦めておとなしくなる。

「ゼファー」

「煩い」

< 307 / 443 >

この作品をシェア

pagetop