今は魔王の手も借りたい。~転生幼女のほのぼのチートスローライフ~
「……おやすみって言おうと思っただけだよ」

 エステルはゼファーの広い胸に顔を押しつけ、静かに息を吐いた。

「おやすみ」

 返事はない。

 もとから期待していなかったため、エステルは気にせず心地よいぬくもりに身を委ねる。

(ゼファーが眠れないってもっと早くに気づけばよかった。みんなが寝ている間、ずっと外でなにをしてたんだろう)

 つきん、とまたエステルの胸が小さな痛みを訴える。

(かわいそう、なんて思ったらきっと嫌がるだろうけど。……でも、かわいそうだ)

 エステルの脳裏に眠れない夜をたったひとりで過ごすゼファーの姿が思い浮かぶ。

(……この人は独りに慣れすぎてる)

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