今は魔王の手も借りたい。~転生幼女のほのぼのチートスローライフ~
 少女は透き通った水晶を──正確にはその中に封じられているひとりの男を見上げ、真面目な顔で言った。

「だから封印が解けても私を殺さないでね、魔王様」



 少女、エステルはかつての自分の名を忘れてしまった。

 しかし今となっては些末事でしかない。

 彼女が新しく生を受けたのは『イクリプス・サーガ』、通称イクサガと呼ばれるゲームの世界だったのだから。

(社畜ゲーマだったってことは覚えてるんだけどな)

 新作が発売されれば有休を取って一日中没頭し、休日どころか睡眠時間を返上してやり込んだ。

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