今は魔王の手も借りたい。～転生幼女のほのぼのチートスローライフ～

　エステルは気のいい村長を思い出し、欲のない彼ならば快く土地も権力も本当にふさわしいと思う人間に譲るだろうと考えた。

「さらに、ほかでもないキュラス男爵が君に任せたいと言っている」

「……それはどうしてでしょう」

　慎重に聞いたエステルだが、ハーグは不思議そうに首を傾げただけだった。

「わからないが、彼も君の話を耳にしたのだろう。罪を償いたい、とも言っていたそうだ。君に償えばこの痛みから逃れられると……キュラス男爵となにかあったのか？」

「わ……わかりません……」

　強力な魔法による苦痛を与えられているだけならば、まだエステルの予想ははずれたかもしれない。