冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
 今のセシリーにとってかろうじて自慢できるものがあるとすれば、実家の商売で扱うこういった道具たちの知識くらいのもの。リュアンとはいがみ合う仲であっても、誰かが自分の作ったもので喜んでくれるのは素直に嬉しい。

(上手く行ったみたいだし、この調子で午後も魔法騎士たちのお世話を頑張りますか!)
「セシリー、後ろつかえてるよ! どんどん渡していって!」
「はぁい、ロージーさん!」

 手伝ってくれているロージーの声に背中を叩かれ、セシリーはあわてて仕事に向き直る。団員たちはまだまだ立ち並び、しばらくは休む暇もなさそうだ。しかしやる気は十分。元気になった彼女は器にリズムよく食事を盛りつけていった。
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