冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「騎士学校って、やっぱり厳しそうですよね。皆さん一体どんな感じだったんですか?」

 騎士学校というと、国から選りすぐりのエリートが集まる場所だ。がちがちの規則に縛られた、お堅い学校生活というのがどうしても想像されてしまうが……。

「ああ、うん。それは否めないね。普通に生きてたら知らなくていい儀礼や式典の作法なんかを死ぬほど暗記させられてさあ。ひどいのよ、朝っぱらから重たい甲冑を上から下まで着せられて校庭に集合した後、それを大声で一人一節ずつ暗唱させられるんだよ。真夏は蒸すし、冬は寒いし、右も左も同じ兜姿だからどこに並んだらいいのか分からなくなって……怒鳴られて。馬のお世話とかも早起きして持ち回りでしなきゃいけないから、慣れるまではろくに寝る時間も無いくらい過酷だったよ」

 当時を思い出したのか途端に元気を失くしたロージーは、ぐったりとソファに体を預ける。

「そんな中キースはねえ、小憎らしいくらい淡々としてた……。って言っても、あたしもずっとあいつを見てたわけじゃないから、あくまで知ってる範囲でだけどさ」
< 109 / 799 >

この作品をシェア

pagetop