冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「へえ……」

 どうやら単なる箱入り娘ではないようだった。騎士である俺が柄でもない事をしていると偏見を持ったりもしないし、そういうところは素直に好感が持てる。

「さすがに金属の鋳造なんかはここではできないからな。部品は指定して、町の鍛冶屋に頼んでる」
「てっきり、団長って無趣味な人だと思ってました。あっ……え~と、い、忙しいって意味で、他意はなくて――」

 ただ素直なせいで、悪気はなくても口は滑ってしまうらしい。お堅くて無愛想でつまらない、などと言われた気がして内心不満を抱きつつ、俺は装飾品を最初に手掛けた事情を話してやった。

「ちょっと、昔世話になった人に教えられてな。魔法を扱うものとして魔道具なんかを修理するときにも応用がきくし、自然と(たしな)むようになったんだ……」
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