冴えない令嬢の救国譚~婚約破棄されたのちに、聖女の血を継いでいることが判明いたしました~
「いやはや、彼あってのクライスベル商会でございますのに……。そんなことをしているとその内乗っ取ってしまいますぞとお伝えくださいませ」
「ふふ、わかったわ」
「――セシリーっ!」
冗談を口にするルバートと苦笑していると、セシリーより少し年下の少女が名前を呼びながらこちらへと駆けてくる。可愛らしいのに化粧っ気のない顔と縁の厚い丸眼鏡。ライムグリーンのぼさぼさ髪にベレー帽、無地シャツ、キュロットパンツといった少年のような装いの彼女は、セシリーの仲のいい友人に他ならなかった。
「ティチ! 来てたんだ!」
「セシリー! ティチね、魔導具の納品してたんだけど……セシリーの姿が遠くに見えたから」
セシリーが愛称で呼んでやると、少女は胸に嬉しそうに飛び込んでくる。
――彼女はティシエル・リドール……新進気鋭の魔道具作成師だ。
「ふふ、わかったわ」
「――セシリーっ!」
冗談を口にするルバートと苦笑していると、セシリーより少し年下の少女が名前を呼びながらこちらへと駆けてくる。可愛らしいのに化粧っ気のない顔と縁の厚い丸眼鏡。ライムグリーンのぼさぼさ髪にベレー帽、無地シャツ、キュロットパンツといった少年のような装いの彼女は、セシリーの仲のいい友人に他ならなかった。
「ティチ! 来てたんだ!」
「セシリー! ティチね、魔導具の納品してたんだけど……セシリーの姿が遠くに見えたから」
セシリーが愛称で呼んでやると、少女は胸に嬉しそうに飛び込んでくる。
――彼女はティシエル・リドール……新進気鋭の魔道具作成師だ。